2025年5月、アメリカ・テキサス州オースティンにて開催された「Zoholics 2025 USA」に参加しました。

米国でしか会わないZohoエキスパートのカイトの二人。
今回は、Zohoが掲げる“CRMを中心に据えた顧客体験戦略”の進化と、AI時代に向けたツールの方向性が明確に打ち出されたイベントとなりました。
本記事では、特に注目したセールス・マーケティング領域のセッション内容をピックアップし、現地の空気感とともにお届けします。
1. Support Keynote 〜Zohoサポート製品の未来とAI戦略〜
登壇者:Blake Dow(Zoho サポート製品セールスマネージャー)
Zohoのサポート製品群(Desk、Assist、Lensなど)は、今後「AIエージェントによる自律型サポート」へ進化していくとのビジョンが共有されました。
- CRMとの一体化をさらに進め、営業・サポートの情報断絶をなくす
- 各部門が自分でCRM上に専用モジュールを作れる「Team Modules」
- タスク連携とステータス追跡で部門間の受け渡しを滑らかに
- 成果指標(SLA達成率など)をCRM内で可視化
- ノーコードで自動化フローを組める “Connected Records”
Zohoが目指すのは「CRM上で完結する協働体験の設計」。営業だけでなく、法務・マーケ・サポート全体がCRMをハブに情報連携し、部門横断で顧客体験を構築できる仕組みが進化していました。
2. Customer Panel: マーケティング実践事例共有セッション
登壇企業:
- Arctic Spas(プレミアムスパ製造)
- Erase.com(評判管理サービス)
- SalesTiger/First Choice Business Brokers(ビジネスブローカー)
それぞれの企業がZohoマーケティング製品(CRM、Campaigns、SalesIQ、Forms、Marketing Automation)をどう活用しているかを具体的に紹介。
特に印象的だったのは以下の点:
- Erase.com: SalesIQとFormsの活用で、広告流入のUTM情報をCRMに自動連携し、質の高い見込み客の可視化と広告改善サイクルを構築
- First Choice: リードスコア機能で営業の優先順位を自動化し、反応の薄い層は除外。スコアに応じて自動でパーソナルなフォローアップを実施
- 共通点: すべての企業が「Zoho CRMとの一体化」に重きを置き、セグメント設計・レポート・自動化を活用してマーケティングの効果を高めていた
3. Overview of Marketing Plus:統合型マーケティングスイートの全体像
登壇者:Taylor Backman(Zoho エバンジェリスト)
Zoho Marketing Plusは、複数チャネルの施策を一元管理するための統合型スイート。特に注目されたのは以下の機能:
- Brand Studio: マーケティング施策を「プロジェクト」として管理し、関係者とリアルタイムで進捗・議論・予算を共有可能に
- カレンダー統合: SNS/メール/Webセミナー/展示会などを横断的に俯瞰
- AI提案: 「こんなキャンペーンをやりたい」と入力すると、AIがチャネル設計や配信内容のたたきを提案
- パーソナライズとA/Bテスト機能: セグメントごとに異なるランディングページやメールを作成可能
分断されがちな社内のマーケティング作業が「1つの場」で統合される、という未来像が体感できました。
4. Create Personalized Marketing Journeys for Your Audience
登壇者:Avinash(Zoho Campaigns/Marketing Automation)
Marketing Automationを活用して「顧客ごとに異なる体験を設計する」方法にフォーカスしたセッション。
- セグメントや行動履歴(Web訪問・メール開封など)を軸にしたマルチチャネルの自動配信
- セールス部門との連携で“どの施策が受注につながったか”まで可視化
- Google広告やSNSとのデータ連携で、費用対効果の高い広告運用が可能に
特に「営業とマーケが別々に動いていたことによる機会損失」を統合で解消するという点が、多くの参加者に刺さっていました。
5. Attract Customers with Organic and Paid Social Media(LinkedIn連携)
登壇者:Jacob Segarra(Zoho)/Amanda Green(LinkedIn)
LinkedInとの共同セッション。以下のような現実的なノウハウが共有されました:
- 「95%の潜在顧客は“今すぐ客”ではない」→だからブランド広告が重要
- フルファネル戦略(認知→比較→行動)に合わせたクリエイティブの設計
- LinkedIn上の動画広告やリードフォームを活用したシナリオ連携
- Zoho Social/Zoho CRM/Zoho Analyticsと連携し、反応から商談・受注まで追える体制を構築
6. Engage Customers with Integrated Email Marketing
登壇者:Avinash(Zoho Campaigns/Marketing Automation)
Zoho Campaignsを使ったメールマーケティングの基礎から応用までを網羅。
- ステージに応じたメール設計(ウェルカム→検討→購入→再アプローチ)
- CRMと連携し、リードのセグメントに応じたコンテンツ出し分け(動的コンテンツ)
- A/Bテスト/アンケート/フォーム/ファイルDLなどの応用活用
- 一括配信ではなく、オートメーションでの継続的な関係構築を推奨
「テンプレを作って“ブックマーク”し、再利用性を高める」など、実務的なTIPSも豊富に紹介され、実際の活用イメージが湧く内容でした。
総括:CRMをハブに、部門を超えて“体験”を設計する時代へ
どのセッションでも共通していたのは、「CRM=営業管理ツール」ではなく、**“全社的な顧客接点のハブ”**としてCRMを再定義しようというメッセージです。
Zohoは“CRM for Everyone(すべての部門にCRMを)”を掲げ、営業/マーケ/サポート/開発までがCRMを介して情報を共有・連携できる設計を進化させています。
日本ではまだ「CRM=営業マンの管理ツール」という印象が根強いですが、Zoholics 2025で提示されたのはまさにその逆。
「CRMを活かせば、全社のマーケティングと顧客体験が変わる」
──それを肌で感じた4日間でした。
これからのZohoの進化と、私たち自身の活用も、ますます楽しみになりました。
以下番外編

憧れのレンジャーボート。ヒューストン北部のバスプロショップで。

カイトにおごってもらった。アストロズvsロイヤルズ。劇的な幕切れ。

アリゾナから参加のリッチ氏。流暢な日本語を話すご機嫌な野郎だ。