九月四日、あいにくの雨。新幹線で豊橋に降りた。豊橋は愛知県で唯一、路面電車(市電)が走る町。豊橋カレーうどんに菜めし田楽、ヤマサのちくわと、名物も多い。
雨の東口を歩く
この町の顔は東口だ。ペデストリアンデッキが延び、市電の乗り場もある。傘をさして、その東口を雨の中ぐるぐると歩き回った。いっぽう新幹線口の西口は、駅ビルもなく、どこかアングラな空気のただよう一角。表の東口と、裏の西口。両方あるのが、この町のいい所だと思う。
まずは餃子「赤のれん」
夜の口開けは、餃子専門店「赤のれん」。創業六十年以上、一日に千個以上を焼くという豊橋のソウルフードだ。メニューは餃子だけという潔さ。厚めの皮はパリッと香ばしく、餡はたっぷり。名物には理由があると、ひと口で納得した。

歩き回って行き着いた、立ち飲み「ナイス」
それから、雨の街をあてもなく歩き回る。行き着いたのが、駅前の地下街にある立ち飲み「ナイス」。ふらりと入って、さっと飲んで、また歩き出せる。この身軽さがいい。地下街のちょっとアングラな灯りが、雨の夜によく似合っていた。
締めは「ワイン&ビアー ヘルプ」
締めは、石窯ピッツァと自家製パスタの店「ワイン&ビアー ヘルプ」。“自称・世界一”を掲げるピッツァに、生ハムをのせて、赤ワインを合わせる。熱々の生地に生ハムの塩気がとろけて、ワインが進む。自称の看板も、この一枚を食べれば許せてしまう。雨の夜に、これ以上の締めはない。ほろ酔いで宿に戻り、一日目は終わった。

二日目、電車で豊川へ
九月五日。電車に揺られて豊川へ向かう。目当ては日本三大稲荷のひとつ、豊川稲荷(正式には曹洞宗の妙厳寺)。

豊川稲荷でお狐さまに会う
まず本殿に手を合わせる。「南無豊川」の幟と大提灯が迫力だ。

それから霊狐塚へ。信者から納められた千体以上の狐の石像がずらりと並ぶさまは、静かだけれど圧倒される。


撫でると福を授かるという「おさすり大黒天」をひと撫でして、三重塔を仰いだ。


民度の高い町、豊川
ひとつ、書き留めておきたいことがある。豊川では、コンビニの外にごみ箱がちゃんと置かれていた。今どき、店の外にごみ箱を出せる町というのは、それだけで民度が高いのだと思う。荒れないと信じられているからこそ、置ける。豊川は、いい町だ。

帰りの電車で、三河名物の大あんまきを頬張った。あんこの素朴な甘さが、旅の終わりにちょうどよかった。表の東口と裏の西口、そして千のお狐さま。豊橋と豊川、どちらもまた訪ねたい町になった。














